地震保険に関する理解を深め、更なる普及に取り組むための参考資料として、日本代協アドバイザーである栗山泰史さんの記事が保険毎日新聞に連載されることになりました。 (15回連載の予定)
本日付けの第1話をご紹介します。一般社団法人 日本損害保険代理業協会より

新・地震保険を語る第1回

自然災害と日本人
丸紅セーフネット㈱常勤監査役
(損保協会シニアフェロー、日本代協アドバイザー 栗山泰史氏
和辻哲郎は、その著書「風土」において、世界をモンスーン、砂漠、牧場の三つの型に分類し、日本列島はモンスーンに属するという。世界地図を広げ、過去の地震が発生した箇所に赤い印を付けてみる。最も赤が際立つ地域が日本列島である。M6以上の地震に限れば世界の約2割がここで発生している。この列島に住む人々は、とてつもなく長い歴史の中で、モンスーン、すなわち台風による風災や水災に加え、地震、津波、噴火という過酷な災害に遭遇し続けながら歴史の糸を紡いできた。
和辻によれば、風土は、そこに住む人々の性格の違いを生み出し、モンスーンにおいて人は受容的かつ忍従的であるとする。例えば、「方丈記」にみられるような無常観はそうした性格の表れなのであろうか。欧米においては、リスクを合理的・効率的に管理するためのリスクマネジメントやリスクファイナンスが、当たり前のことのように浸透している。これに対し、この国においては、決してそれらが浸透しているとはいえない。特に自然災害に対しては、どこか「起こったら起こったで仕方がない」というような諦観が色濃く潜んでいるように感じられてならない。和辻は、「人は風土に影響を受けながらもそれを乗り越えていく」というのだが、おそらく、事はそうたやすくはない。
寺田寅彦は、「文明が進めぱ進むほど災害は激烈さを増す」ど述べている。現代の日本に住むわれわれは、もはや、災害に対して「起こつたら起こつたで仕方がない」ど思考停止に陥ることはできない。寺田は「ものをこわがらなさ過ぎたり、こわがり過ぎたりすることはやさしいが、正当にこわがることはむつかしい」と述べている。われわれは、災害を今そこにある現実としで「正当にこわがり」、危険要因を可能な限ひ減らす努力をしなければならい。
1966年に創設され、その後、さまざまな課題を抱えながらも、力強く成長、発展し続けた家計分野の地震保険は、そうした努力による大きな成果の一つといえよう。